1.今回インタビューしたのはこんな人

──簡単に自己紹介からお願いします。
Iさん:いまは関西にある700床ほどの総合病院で働いています。娘が2人いますが、もう家を出ているので夫とふたり暮らしです。
──製薬会社、薬局、病院とさまざまな職場での経験をお持ちですね。
新卒で就いたMRは激務だったのと、調剤がやりたくなったので3年ほどで薬局に転職しました。途中で結婚し、出産と育児のために33歳で薬局を退職。1年間現場を離れていました。
そのあとはパートの病院薬剤師として復帰して、薬局2ヶ所と病院2ヶ所を経験して、いまに至ります。
──今回は直近の転職(病院から病院)について詳しく話を聞きたいのですが、転職理由は何だったんでしょうか?
前職の病院が結構好きだったので、定年まで働き続けてもいいとは思っていたんですけど。勉強したいと思っていたがん治療に強い病院を知人から紹介されたので、受けてみようと思ったんです。もともと緩和ケアが専門なので。
──紹介による転職だったんですね。では選考を受けたのもその病院だけですか?
そうですね、1ヶ所しか受けていません。
──転職活動期間は?
紹介の話をもらったのが春で、見学に行って履歴書を提出して、面接と筆記試験を受けたのが9月。そこから2ヶ月くらい結果を待って、11月に内定をもらいました。なので半年くらいかかってますね。
──内定まで2ヶ月! かなり待ちましたね。
ほとんど中途採用をしてないようで、新卒採用のスケジュール感だったんですよ。だから結果が出るのにも時間がかかったみたいです。
──転職の際に重視したことを3つあげるとしたら?
まずは緩和ケアができること。
それから病棟業務がやりたくて病院で働いていたので、外来ではなく病棟を希望しました。
あとは待遇面でしょうか。前職の給料よりは上がるといいなと思っていましたね。
2.薬剤師の履歴書(実例)


──ここからは実際の提出書類を見ながら、作成時に気をつけた点などを聞いていきます。パソコンではなく手書きを選んだ理由はありますか?
過去に面接官として履歴書を見る機会が何度かあったんですが、皆さん手書きだったんですよね。手書きのほうがその人の性格も見えますし。
──最近はパソコンで作る人も多いと思っていました。
私が面接していたのは5年くらい前(2018年)までですから、今とはまた少し違うかもしれませんけどね。
証明写真がズレていたりとか記入欄から文字がはみ出ていたりとか。そういうのは私も気になって指摘したこともあります。
──履歴書は購入されたものですか?
市販のものです。職歴が長いので、別紙になっているタイプがいいと思ってこの形を選びました。
──記入方法について調べることはありましたか。
履歴書に添付されている書き方を見たくらいですかね。
薬局や病院の場合だと「入社」ではなく「入局」かと迷って調べた気もしますが……結局、「入社」で統一してますね。

──資格欄では免許の番号を記入したんですね。
これは実際に持っているか確認するために必要かも、と思って書いた気がします。

──資格をたくさんお持ちですが、転職には役立ちましたか?
重宝されたときはありましたね。職場によっては配置要件のために免許を持つ薬剤師が必要なことがあるので。たとえば薬学生の実習を指導するには認定実務実習薬剤師が必要ですし、栄養サポートチーム専門療法士を取得していると加算を受けられます。
今回の転職先は薬剤師だけで60人くらいいて、ほかにも免許を持っている人もいると思うのであまり目立たなかったかもしれません。前職はもっと規模の小さい病院だったので、私しか持っていない免許もありました。
──志望動機欄で意識した点はありますか?

専門分野について書いたことと、緩和薬物療法認定薬剤師の申請中ということをアピールしました。
──本人希望欄には希望年収を書かれたんですね。

前職からあまりにも下がるようなら難しいかなと思っていたので、正直に書きました。今思うと結構強気だったかもしれませんが……「できれば」とちょっと控えめにはしていますね(笑)。
──希望は通りましたか?
面接で給与の話はとくにしていなくて。入社式の1週間前に人事から電話がかかってきて「希望の金額には届かないんですが、それでも来てもらえますか?」と聞かれました。

──ええ、入社の1週間前ですか? 内定のタイミングではなく?
ちょっと詐欺みたいですよね(苦笑)。もう入社するしかないので了承しましたけど……。紹介してくれた方がその職場で働いていて「そのくらい(の金額)でいけるんじゃないの」と言っていたのを鵜呑みにしてしまったのもありますね。
重要|内定をもらったら承諾前に労働条件を必ず確認しよう
内定をもらった際には、承諾する前に労働条件通知書を発行してもらい、内容をよく確認しましょう。労働条件の具体的なチェックポイントについては以下の記事で解説しています。
ジョブメドレーからのアドバイス
今回の履歴書の「改善点」「良い点」は以下のとおりです。ぜひ参考にしてみてください。
〈改善点〉
(1)記入年月日
日付は提出前に記入しようと空けたままにしやすい項目ですので、忘れずに記入しましょう
(2)学歴
・小学校・中学校は省略可能
・卒業年だけでなく入学年も書くと丁寧です
・今回は職務経歴が別紙ですが、職歴も記載する場合は1行空けて「職歴」と続けます
(3)志望動機
「緩和薬物療法専門薬剤師」の正式名称は「緩和薬物療法認定薬剤師」。固有名詞の間違いに注意です
〈良い点〉
これから取得予定の資格について言及していることで、スキルアップに前向きな様子が伝わります!
3.薬剤師の筆記試験・面接対策
──今回の転職では筆記試験もあったのですね。
はい。筆記試験と適性検査があって、そのあと面接という流れでした。
筆記試験はたぶん新卒と同じ内容なんですかね……? 実務的な内容というよりも国家試験に近かったです。前もって「国試のような内容が出る」と聞いていたので、YouTubeで解説動画を見て復習しました。

──面接はどんな感じでしたか? 時間や面接官の人数など。
時間は20分くらいで短かったです。面接官は病院長と薬剤部長、人事担当者の3人くらいだったかな?
面接官はこちらよりも少し高い位置の椅子に座っていて距離もあったので、気軽に話す面接という感じでもなく、ちょっと緊張しました。
──700床の病院でも院長が面接するんですね。どんな質問内容でしたか?
この歳なので「どうして転職しようと思ったんですか」とか「仕事は大変ですが大丈夫ですか」とか聞かれましたね。
短時間だったのであまりイレギュラーな質問はなく、わりとあっさり終わりました。
──面接時の服装と持ち物は?
グレーのスーツだったと思います。髪が長いので、後ろで結んでいました。
持ち物は本当に最低限で、携帯とお茶と筆記用具と……あとは試験対策の参考書も持っていった気がします。
──内定後、入職までに準備したことは?
健康診断を受けました。あと本来は入社前研修があるんですけど、その時期はコロナ禍だったので研修はなくなり、配布された資料を読むだけでした。
入職したらがんに関わる機会が増えると思ったので、YouTubeを見て勉強もしましたね。
4.職場選びで大きく変わる、薬剤師のキャリアステップ
──製薬会社、薬局、病院と3つの職場での経験を通して、どの職場から経験するといいといった順番はありますか?
MRを目指すなら新卒ですね。MRは中途の未経験では採ってもらえないと思うので。
病院と薬局なら、病院でひととおりのことを勉強してから調剤薬局に行ったほうが知見を活かせるんじゃないか、と実習生にはよく話します。カルテを確認できるので、検査値など臨床ならではのデータもわかりますし、どういった経緯でその薬が処方されたのかの背景を理解しやすいです。
一方で、最近では大手薬局チェーンが新卒に人気で、中途はなかなか採用されないなんて話も聞きます。薬局は給料面の条件がいいですからね。

──今後、薬剤師の働き方はどう変わっていくと思いますか?
将来的に薬剤師は供給過多になるともいわれているので、ただ調剤ができるだけでは選ばれなくなってきます。
昔はひたすら調剤……という側面が強かったのですが、いまではチーム医療の中で薬剤師の役割が大きくなり、職能を活かしやすい環境に変わってきたと感じます。患者さんのためにできることは何か考えて、日々勉強することが大切なのではないでしょうか。
